活動レポート

第598回実地医家のための会平成30年11月例会報告

第598回実地医家のための会例会が、平成30年11月11日に下記の内容で開催された。今回の例会は、皮膚科診療のコツについて平本皮膚科医院の平本力院長にご講義いただいた。平本先生はケアネットでも有名な先生で、先生の講義を受けると、自信を持って皮膚科疾患に対応できる気になります。
豊富な経験とわかりやすい平本式理論を用いて講義をされましたので、診療経験の長い先生はもちろんのこと、皮膚科診療に自信のない先生にとっても素晴らしい講義となりました。

日時:平成30年11月11日(日)13時00分~16時10分
場所:東京医科歯科大学 B棟5階 症例検討室
テーマ:平本式、一次診療の皮膚科〜自信と確信を持って行う“皮膚疾患の一次診療”
講師:平本 力先生(平本皮膚科医院)
司会:石橋幸滋先生(石橋クリニック院長)
共催:日本プライマリ・ケア連合学会生涯教育委員会 同プライマリ・ケア薬剤師認定 制度委員会

内容:
13:00~14:30 「皮膚科疾患を一次診療で対応するか? 紹介するか?」講師 平本皮膚科医院 平本力先生
14:30~14:40 休憩
14:40~16:10 「ステロイド外用薬の適応、不適応」講師 平本皮膚科医院 平本力先生

平本先生の皮膚科理論を解説した平本先生の著書「一次診療の皮膚科(二訂)を参加者全員に寄贈してくださり。その内容をもとに講義が始まった。

1.「皮膚科疾患を一次診療で対応するか? 紹介するか?」
皮膚科診療の基本は、「遠・近・考」で、まず経過・随伴症状・分布を、物理的・観念的に遠くから眺め、どこからどのように広がったのか、繰り返すかなどを仔細に眺め、発熱や関節痛、筋力低下などの随伴症状はないかを観察する。全身に広がっていれば中毒疹を疑い、局所に留まっていれば、外からの影響なのか体内からのものかを考えるとよい。特に局所の病態を知るためには、近づいて見る必要があり、皮疹の色、形、辺縁の状態を細かく観察して、可能であれば触ってみることも必要である。
そして、医師は、自らが行える治療の限界を自覚した上で、縁・近を活用し、皮疹の緩急/軽重/浅深を考え、方策と期限、予後を想定して、一次診療で対応できるか、紹介すべきかを考えることが重要である。(資料1)

2.湿疹の鑑別
皮膚科疾患の一次診療で重要なことは、湿疹を見分けることであり、湿疹以外の寄生体疾患を鑑別できれば、ほとんどの皮疹は一次診療で治療可能である。(資料2-1)
湿疹の診療は、紅斑―漿液性丘疹―小水疱―膿疱―湿潤―血痂―落屑という湿疹三角(資料2—2)を念頭に置き、皮疹が現在どの状態にあるのか、全部同じ状態なのか、様々な病態が混在しているのかによって診断できることもある。
湿疹の治療を行う場合に重要なのが、単純性疱疹(図7)や帯状疱疹(図8)、伝染性膿痂疹(図9・10)、白癬(図11・12)、カンジダ(図13・14)などの表皮の寄生体疾患である。これらを正確に鑑別し、適切な治療薬を用いて治療することが大切である。特に疥癬(図15・16)などは適切な治療を行わないと悲惨な経過をたどることになる。
この他、蕁麻疹とその治療、薬疹の診断、虫刺皮膚炎、アトピー性皮膚炎などについても診断と治療について実践的なお話があった。

3.ステロイド外用薬の適応、不適応
次にステロイド外用薬の使い方であるが、皮膚疾患の簡便で一般的な治療はステロイド外用剤治療である。しかし、ステロイドは原因のいかんによらず炎症を抑えてしまうが、炎症は防御機能であり、場合によっては抑えてはいけない場合がある。そのためステロイド外用薬は湿疹には使用して良いが、寄生体疾患には使用すべきではない。
ステロイド外用剤には、軟膏とクリーム、ローションなどの形態があるが、クリームに含まれている界面活性剤には刺激性があるので、表皮の疾患に対する使用は注意すべきであり、ローションは、含有アルコールに注意して、頭皮などの比較的皮膚の厚いところに使用すべきである。
また、ステロイド外用剤は、顔など角質の薄いところを除き十分強いステロイド(ベリーストロング、一次診療でのお勧めはマイザ―軟膏、デルモベートは強すぎる)を十分な量塗布する。顔は1日2-3回、体は3-4回、手足は4-5回、5-7日間塗布して、経過を見る。苔癬化した湿疹にはステロイド軟膏の上に亜鉛華軟膏を重層塗布すると効果的である。
その他、伝染性膿痂疹などの細菌感染性皮膚炎には、抗生剤を混ぜたステロイド軟膏(リンデロンVG軟膏など)に殺菌効果はほとんどないが、アクリノール亜鉛華軟膏やアクアチム軟膏などの抗細菌外用薬(ゲンタシン軟膏は耐性菌が多い)を重層塗布するのは効果がある。
治療に関しては、適切な外用薬を選択すれば7-10日で満足のいく結果が得られるはずであると考え、自分の治療が効果があったかを検証して自己研鑽すると良い。

例会資料