リレーエッセイ

#7 お休みの勧め

石橋幸滋

石橋幸滋

昭和55年、自治医科大学卒業。
その後、川崎市立川崎病院、神奈川県立厚木病院、神奈川県立千木良診療所、自治医科大学地域医療学講座、ワシントン大学家庭医療学講座、神奈川県立藤沢保健所などで研鑽を積む。
平成5年、東久留米市で石橋クリニックを開院。
東久留米医師会会長、日本プライマリ・ケア連合学会理事、東京医科歯科大学臨床教授、東久留米市介護保険認定審査会会長などを兼務。

 月に1~2日しか休みのない忙しい私が、このようなテーマでリレーエッセイを書くと皆さんから笑われてしまうかもしれませんが、自分なりに休みを取ることの重要性は理解しているつもりですし、忙しい中での休みの取り方とその効用を考えてみました。
 開業して22年目を迎え、年末年始と夏休み以外には月1~2日の休みしか取ったことのなかった自分が、一昨年、12月という一番忙しい時期に1週間の休みを取りました。理由は、ドイツのクリスマスマーケット(写真)を巡るという完全プライベートの旅を励行するためでした。私のクリニックには複数の医師がいるので夏休みでもクリニックは開いていましたし、在宅患者さんも他の先生にお任せできるので、単独開業の先生とは違うと思います。しかし、それでも最も忙しい12月に休みを取って遊びにいくというのは、医師として、経営者として、人として抵抗がありました。
 患者さんには遊びに行くとは言わなかったので、多くの方は学会と思っていたようですが、その誤解を解くようなことはせず、経営は事務長に任せ、職員や他の先生はお土産で懐柔し、3ヶ月前からスケジュールを調整してドイツに行ってきました。お陰さまで精神的なリフレッシュはもちろんのこと、休みを取っても大丈夫だと思えるようになりましたし、休みの重要性も自覚しました。
 できれば、このような休みを実地医家のための会の先生が取れるようなシステムができれば、皆さんも安心して休めるし、会員が増えるのかなとこのエッセイを書きながら考えています。グループ開業(同じ科の先生が複数で開業するタイプ)ができればいいのですが、単独もしくは親子開業ではなかなか休みは取りにくいかと思います。また、能力を知らない医師に診療所を任せるのも心配だと思いますので、プライマリ・ケアを専門にしている医師を信用できる人または組織に紹介してもらえば、安心して休めるのではないでしょうか。
 などと夢想しながら、来年3月に招待されている米国ミシガン行きをどうするか思案中です。島根の松本先生も以前、実地医家のための会の例会で、夏休みや年末年始ではなく違う時期に旅行に行くと旅費も安いし、結構患者さんも理解してくれるとおっしゃっていましたが、改めで実感したドイツ旅行でした。
 ドイツ(北欧や北米も引けはとらないそうです)のクリスマスは本当に素晴らしいので、ぜひ皆さんも行ってみられるとよいと思います。もっと素晴らしい写真を見たい方は、こちらのページを参照してください。

写真1. ローデンブルグ 街全体がクリスマスになります


写真2. フランクフルト 市内に何ヶ所かクリスマスマーケットができますが、ここが最も古いレーマー広場のマーケットで1930年からあるそうです


写真3. シュトウットガルト ヨーロッパでも最大、最古のマーケット