リレーエッセイ

#5 地域には素晴らしい人材がたくさん

外山 学

外山 学

1963年 北海道生まれ。
1987年 北海道大学医学部卒業、札幌徳洲会病院研修医。
1990年 静仁会静内病院勤務。プライマリ・ケア、
    及びターミナルケアを含む在宅医療の
    研修を受ける。1992年 同院副院長。
1993年 益田診療所(大阪府門真市)副院長、現在に至る。

 私のような、これといった特徴のない診療所の医師でも、地域で長くやっていると、医師会の関係などから、講演や原稿を依頼されることがあります。そうすると、時に、それを聞かれたり読まれたりした方が、わざわざ遠くからやって来られます。あるいは、インターネットのホームページからも、同様のことがあります。あまりに申し訳ないので、このように掲載することにしました(一部省略します)。
「『遠くの名医より近くの良医』をモットーに、身近なところでプライマリ・ケア(かかりつけ医機能)を提供する診療所です。
 他院ではできないような特別な診療はしておりません。
 日々研鑽に励み、関係機関との連携活動に努めてはおりますが、真価が発揮できるのは、何かあったら気軽に駆け込める、近い距離でこそ、です。」
 ところが、正直に告白すると、私自身の中にも、遠くの有名な、あるいは立派な肩書きを持つ先生に頼る気持ちがありました。
 現代の地域医療は、医療のみならず、看護、介護、福祉、保健(行政)など、さまざまな職種や立場(多職種といいます)が力を合わせることで成り立っています。そのため、多職種が集う会合が頻繁に開催され、私もそのような研修会の企画に携わる機会があります。大病院や大学から講師を招くのが、半ば習慣となっていましたが、開催時間帯の関係で離れたところからお呼びすることができず、地元の先生にお願いしたときに、新たな発見がありました。もちろん遠くの有名な演者には、最先端のことを教えていただけるありがたみがありますが、他方、同じ地域で顔と顔が見える関係の方の場合には、依頼の意図をよく汲み、丁寧に調べ、かゆいところに手が届く話をしていただける嬉しさがあります。最近では、地元の方に講師をお願いする勉強会が定着しました。
 そのようなことを続けていると、いろいろな地域の才に出会うことができます。私が関わる会合の中で、最も地域の特色が出ているのは「門真だよ、全員集合!」と銘打った、多職種による年1回の自主研修会と懇親会です。これは有志による「れんこんの会」(れんこんの名は門真の特産物に由来します)が企画しています。今年のメイン企画は「高齢者集合住宅~自分の親が住むならこんな家!」とのタイトルで、サービス付き高齢者向け住宅などの問題をテーマとして、テレビ番組「探偵ナイトスクープ」を模した形式で行われました。局長役は医師会長、秘書役(ナレーター)は元ラジオアナウンサーのケアマネジャー、顧問の俳優役は訪問看護師と私、探偵役と相談者役はケアマネが務め、テレビショッピングの社長役の歯科医師の熱演と医師の解説があり、締めのケアマネ資格を持つ介護事業者コンサルタントによるレクチャーで感動を呼びました。裏方の動画編集等の技術担当のケアマネ、シナリオライターの訪問看護師は、毎回お馴染みの、当地が誇る陣容です。訪問看護師がエンゼルケア(死後の手当て)のデモンストレーションを行ったり、ケアマネが琴の生演奏を行った年もありました。
 今では、声を大にして言えます。「地域の人の力を信じよう!」